第542章

斎藤真司は不思議そうに「彼女に会いたいんですか?」

「はい」

「……これは、どうしてですか?」

斎藤真司の目が輝いた。もしかして栗原お嬢様も自分に気があるのだろうか?

でも、その言葉は口に出せなかった。

栗原愛南は目を伏せ、ゆっくりと口を開いた。「別に。彼女は日本にいるの?」

「はい、愛南と一緒に来て、今うちに住んでいます。それに……お爺さんも来ているんです」

斎藤真司は困ったような表情を浮かべた。

お爺さんが来て以来、いとこと結婚するよう迫られている。

でも、いとこの南條真美とは何の感情もないのに!

結婚したくない!

でもお爺さんは家の実権を握っていて、ほぼ一言で彼の結婚を決められる人だ。彼の反抗は全て無駄なのだ。

好きな人がいると言うしかない。

でもお爺さんはその人を家に連れてくるように言い張って……