第557章

斎藤真司がその写真を見つめていると、斎藤お爺さんはゆっくりと口を開き、少し回想に浸っているように見えた。「これは私の初恋の人だ。だが、妊娠後に突然私の元を去り、行方が分からなくなってしまった」

斎藤お爺さんはため息をつきながら続けた。「当時、彼女は時々写真を送ってきていた。その写真を通じて、彼女が京都にいることを知った。しかし、会いに行こうとした時、様々な事情で阻まれてしまい、人を遣わして探すしかなかった。だが残念なことに、彼女が住んでいた場所は大火事で全焼し、彼女は亡くなり、私の娘は行方不明になったと聞かされた」

斎藤お爺さんは顎を引き締めた。「その後、私は結婚して他の子供もできたが、分かるだろう、初恋は最も忘れがたいものだ。そして、行方知れずになった娘は、私の人生で唯一の心残りとなった」