第558章

斎藤真司はそのメッセージを見て、ため息をついた。

斎藤真司:【聞いてみたけど、お爺さんの娘を見つけても、気持ちは変わらないと言っていた。】

これで栗原愛南は諦めるだろうと思ったが、予想に反して彼女からすぐに返信が来た:【大丈夫、どんなに小さな可能性でも、試してみたいの。】

斎藤真司は彼女がそう言うなら、と返信した:【じゃあ、お爺さんに聞いてみる。】

写真は斎藤お爺さんの私物だし、斎藤真司は確認する必要があった。写真は全てお爺さんが持っていったのだ。

このメッセージを送ってから、彼は階段を上がった。

斎藤お爺さんが出窓に立って外を眺めているのが見えた。

彼らの住む郊外からは、連なる山々が見える。夜になると、月明かりが山頂に降り注ぎ、静かで穏やかな景色を作り出していた。

斎藤真司がその後ろに立つと、斎藤お爺さんが口を開いた:「また明日の婚約式を取り消そうとしているのか?」

斎藤真司は頷いて、「僕じゃない、栗原愛南が、もう一度試してみたいと言っているんです。」

斎藤お爺さんはため息をついた:「真司、婚約後は栗原愛南と距離を置くように。」

斎藤真司は不思議そうに:「どうしてですか?」

斎藤お爺さんは目を伏せた:「南條真美と彼女は、生死を賭けた敵対関係にあるからだ。もし南條真美と結婚すれば、我が斎藤家は南條真美側につくことになる。そうなれば栗原愛南とは対立関係になる。お前が板挟みになるのは見たくない。」

斎藤真司は顎を引き締めた。「お爺さん、南條家は一体どうなっているんですか?同じ南條家の人間なのに、なぜ敵対関係なんですか?」

斎藤お爺さんはため息をついた:「知らない方がいいこともある。もういい、戻りなさい。栗原愛南には無駄な努力はしないように伝えなさい。私が自分で娘を探す。」

斎藤真司はさらに尋ねた:「本当に転機はないんですか?」

斎藤お爺さんは首を振った:「栗原愛南がお前と結婚して、子供を産むなら別だが。血のつながりは最も強い絆だ、永遠に壊れることはない。なぜ私が政略結婚にこだわるのか、分かるだろう?」

斎藤真司は拳を強く握りしめた。

斎藤お爺さんは続けた:「この件は、栗原愛南がお前との結婚を拒んだ時点で決まったことだ。変える余地はない。もちろん、もし...」