第559章

栗原愛南は自分がどうしてこうなったのか分からなかった。おそらく溺れる者は藁をも掴むというやつだろう。

斎藤家は権力も金も求めないため、彼女には手の打ちようがないような感じがした。

今やっと斎藤お爺さんの弱みを知ったのだから、試してみないわけにはいかない。

森川北翔も彼女と一緒に立ち上がり、「一緒に行こう」と言った。

栗原愛南が頷いたとき、二人が出かけようとした矢先、斎藤真司からメッセージが届いた:【今、衣装合わせに行くところだ。明日の婚約パーティーに君たちを招待するよ。その時にまた話そう。】

このメッセージを見て、栗原愛南は少し立ち止まった。なぜか、斎藤真司が彼女に対して少し冷たくなったような、意図的に距離を置いているような気がした。

よく考えてみれば、理由は分かった。