第565章

斎藤真司はこの言葉を聞いて、すぐに頷いた。「分かった」

彼がポケットに手を入れ、アルバムの中の写真を取り出そうとした時、まだ取り出す前に声が聞こえてきた。「何をしているの?」

斎藤真司と栗原愛南が振り返ると、南條真美が歩いてくるのが見えた。

彼女は警戒の表情を浮かべ、栗原愛南と斎藤真司を見つめていた。

斎藤真司は言った。「栗原お嬢様と少し話があるんだ」

南條真美は嘲笑うように言った。「どんな話なの?私という婚約者に聞かせられない話?」

斎藤真司は眉をひそめた。

栗原愛南も唇を固く結んだ。

彼女は今の状況が少し奇妙に感じた。南條真美と斎藤真司は婚約者同士なのに、自分がしようとしているのは彼らの婚約を破壊することだった。

まるで自分が大悪役になったみたいだ。

でも南條家から与えられた任務のことを考え、そして南條真美がしてきたことを思い出すと...栗原愛南の心の中のわずかな後ろめたさは完全に消え去った。

敵への慈悲は、自分への残酷さだ。

彼女はこの言葉をずっとはっきりと覚えていた。

彼女は直接口を開いた。「南條お嬢様、これは私たちの個人的な話です」

「個人的な話?」南條真美は直接斎藤真司の側に歩み寄り、彼の腕に手を回した。「彼は今や私の婚約者よ。あなたとの間に個人的な話なんてないわ。栗原お嬢様、あなたも婚約している身でしょう。自重してください!」

栗原愛南は眉をひそめた。「あなたたちの婚約式はまだ行われていないでしょう?」

南條真美は嘲笑した。「それでも私は今日のホステスよ。さっき警備員にあなたを外に案内するように言ったのに、おとなしく従う気はないみたいね?もしあなたが恥知らずなら、私が情け容赦なく対処するしかないわ!」

栗原愛南は表情を曇らせた。「何をするつもり?」

南條真美は口を開いた。「もちろんあなたを追い出すわ!栗原お嬢様が強いのは知っているけど、もしあなたが斎藤家の警備員たちと揉め事を起こしたら、それは私の得点になるわ!きっとあなたもそんなことは望まないでしょう?」

彼女の態度は強気で、その言葉に斎藤真司も顔を曇らせた。「真美、もういい加減にしろ。今日は客だ、どうしてこんな態度を取るんだ?」