第564話

これは新しいライバル?

また恩人を奪いに来たの?!

井上斉子は大敵を前にするかのように、一歩前に出て、すぐに栗原愛南の左腕に腕を通した。「恩人お姉さま、しばらく会えなくて、とても会いたかったです!」

次の瞬間、斎藤愛南が割り込んできて、押し入るように言った。「井上さんですよね?私は斎藤愛南です。招待状は?こちらで確認させていただきます。南條お姉さま、招待状は必要ないって言ったでしょう。私が案内しますから!こちらです。」

彼女は栗原愛南の腕を引っ張って、パーティー会場に入ろうとした。

井上斉子はすぐに嫉妬心を爆発させた。「恩人お姉さま、待ってください!」

そう言うと、素早くハンドバッグから招待状を取り出して執事に渡し、急いで追いかけて栗原愛南の右腕に腕を通した。

「恩人お姉さま、この方は誰ですか?最近知り合ったんですよね?」

井上斉子は主権を主張しようとした。

斎藤愛南は笑って言った。「人によっては十年の付き合いでも表面的な関係に過ぎないけど、二日で運命的な出会いを感じる人もいるわ。私と南條お姉さまはまさにそうなの!」

彼女は栗原愛南の腕にしがみついた。

井上斉子は毛を逆立てた子猫のように怒った。「私と恩人お姉さまは命の恩人なんです。私の命を二度も救ってくれたんです。あなたたちの友情が私たちほど固いわけないでしょう?」

斎藤愛南:「彼女があなたを救ったのね。私てっきりあなたが彼女を救ったのかと思ってた〜」

井上斉子:!!

栗原愛南は頭を抱えながら二人を見つめた。

一人は24歳で、もう一人も20歳を過ぎているのに、まるで子供のような振る舞い。

思わず後ろにいる雪音を抱いている森川北翔を見た。男の顔は完全に曇っていて、斎藤愛南と井上斉子を見る目は殺意すら感じられた。

……これもまた嫉妬深い人。

彼女は額を押さえながら、どこか間違っているのではないかと考えた。

咳払いをして言った。「あの、雪音にご飯をあげてきます。お腹が空いているみたいで。」

そう言って、二人の女性の手を振り払い、男性から小さな子供を受け取って、端の方に逃げ込んだ。雪音に小さなケーキを取って、二人で静かに隅に座った。

やっと世界が静かになった!!

栗原愛南は長いため息をついた。

そして思わず微笑んだ。