第570章

栗原愛南は森川北翔を見ると、目が輝いた。

彼女はすぐに雪音を抱きながら近づき、声を潜めて尋ねた。「写真の修復は終わったの?」

森川北翔はその質問に答えず、会場の様子を見つめた。

南條真美はこの時眉をひそめ、彼が大股で近づいてくるのを見ると、斎藤真司の手を掴んで指輪をはめようとした。

しかし斎藤真司はすぐに手を引っ込め、南條真美を見つめながら言った。「まず彼の話を聞こう。何か変化があるかもしれない!」

南條真美は怒鳴った。「何が変わるというの?」

斎藤真司は「そうだね、何も変わらないなら、婚約式を少し遅らせてもいいじゃないか?」

南條真美は言葉に詰まった。

彼女はすぐに斎藤お爺さんの方を向いて言った。「お爺様、あなたもそう思われますか?栗原家の人たちをこうして出入りさせていいんですか?」

斎藤お爺さんはこの言葉を聞いて眉をひそめ、栗原愛南を見つめながらゆっくりと言った。「栗原お嬢様、もし私の孫と結婚したいのなら、まだ人選を変える機会はありますが、そうでないなら、どうかここを離れていただけませんか。これ以上混乱を招かないでください。」

栗原愛南はしばらく黙っていた。

森川北翔は冷静に口を開いた。「栗原家の者は帰れますが、お爺様は本当に森川家の者も追い出すおつもりですか?」

斎藤お爺さんは少し驚いた様子を見せた。

京都の数ある財閥の中で、今や勢力を拡大しているところがあり、森川家のような一部の財閥は既に海外進出を始めていた。

敵に回さないほうがいいものは、敵に回さないほうがいい……

斎藤お爺さんが栗原家と決別しなければならないのは、やむを得ない選択だった。二つの勢力の間で、必然的に下さなければならない決断だった。

しかし森川家は……京都第五の財閥として、このように敵に回すのは、実に得策ではなかった!

斎藤お爺さんは南條真美の方を向いた。「南條お嬢様、森川家もあなたが取り込みたい勢力のはずですが、本当に森川も追い出すおつもりですか?」

南條真美は即座に冷たい目つきで答えた。「斎藤お爺様、もちろんです!すぐに追い出してください!」

斎藤お爺さんは顎を引き締めた。「あなたはそう言いますが、私にはその気はありません。森川が何を言いたいのか、聞いてみたいと思います。」

南條真美は怒りを爆発させた。「あなた...!頑固者!」