第611話

栗原愛南はその言葉を聞いて、一瞬立ち止まった。

森川北翔は口を開いた。「君はすでに答えを知っているんだろう?ただまだ確信が持てないだけで、今日南條真美に会いに行ったのも、その答えを引き出すためだったんじゃないか?」

栗原愛南はその言葉を聞いて思わずため息をついた。「あなたはどうしてそんなに賢いの?私はまだ何も言ってないのに、全部見透かされてる!」

森川北翔は言った。「実は推測するのは難しくない。この人物は斎藤家と深い関係があるはずだ。斎藤お爺さんの暗号を知っているのは、限られた人間しかいないからね。」

栗原愛南は頷き、目を伏せて、その眼差しには少し諦めの色が浮かんでいた。

彼女は森川北翔と階段を下り、ちょうど食卓に着くと、栗原光彦が朝食を食べているのが目に入った。彼女を見かけると、すぐに手を振って言った。「従姉さん、叔父さんは大丈夫だよ。僕も学校に行かなきゃいけないし、心配しないで。さっき叔父さんを見てきたけど、医者が言うには気持ちよく眠ってるって!」

栗原愛南は頷いた。

彼女は森川北翔と目を合わせ、二人は直接栗原光彦の向かいに座った。

使用人が二人分の朝食を運んできて、彼らの前に置いた。栗原愛南はナイフとフォークを取り、牛肉を一切れ切って、直接口を開いた。「お父さんが今回無事だったのは、本当に南條真美のおかげね。」

その言葉を聞いて、栗原光彦は一瞬固まった。「どういう意味?」

栗原愛南は言った。「昨日私たちが彼女を試したら、すぐに本当のことを話してくれたの。まるで情報を私たちにプレゼントしてくれたようなものよ。」

森川北翔はすぐに口を開いた。「彼女も状況を知らなかったし、あそこに閉じ込められていたから、最初は慌てていたんだろう……でも結局のところ、この件は確かに彼女に感謝しないといけない。だから後で、彼女に対する態度は良くした方がいい。」

栗原愛南は頷いた。「うん、分かってる。」

栗原光彦は言った。「態度なんか良くする必要ないよ!あの人は悪い人だよ。従姉さん、森川さんの言うことなんか聞かないで、厳しくすべきときは厳しくするべきだよ!あの南條真美はきっと命が惜しい人間だから、しっかり取り調べて、全部の秘密を白状させるべきだよ!」