第643話

栗原愛南は川内お爺様のオフィスの廊下まで歩いていった。

前回来た時、彼は連行されたばかりで、ここはまだ封鎖されていなかったが、今は前後が封鎖され、関係者以外立ち入り禁止となっていた。

川内美玲の足取りは乱れており、今の彼女の動揺が表れていた。

二人は川内お爺様のオフィスまで来たが、川内美玲はためらって前に進めず、栗原愛南はそれを見てドアを押し開けた。

目に入ったのは年老いた老人だった。

白髪まじりの頭だが、精気にあふれており、顔にはしわが刻まれているものの、若い頃の威厳が今でも感じられた。

老人は横向きに立って花に水をやっており、彼らを見ることなく口を開いた:「すべて私が認めた。もう尋問する必要はない。」

この言葉を聞いた途端、川内美玲の体は微かに震え始めた。

どれだけ多くの人が川内お爺様は罪を認めたと言っても、川内美玲は信じられなかった。