第664話

斎藤愛南は江口雪を見つめて言った。「誰かさんみたいに、名声を求めて、ただ名声のためだけにやってるんじゃないわよね!」

江口雪はその言葉を聞いて、表情が凍りついた。

森川麻理亜は即座に眉をひそめた。「あなたの言うNについて、みんな推測してたわ。年老いた方が自分の財産を全部寄付したんじゃないかって。そうだとしても、その人は公の場に一度も姿を見せていない。だから江口雪が慈善活動の第一人者なのよ。私の言ってることは間違ってないでしょう!」

栗原愛南は眉を上げ、斎藤愛南を見た。

彼女が何をしようとしているのか分からなかった。

斎藤愛南はすぐに口を開いた。「誰がNはおじいさんだって言ったの?その人は若い女の子よ。ただ匿名で慈善活動をする方が良いと思っただけ。慈善家というイメージを作りたくなかったの。使ってるのは自分のお金じゃなくて、募金で集めた社会資金なのに、ここで自慢げにしてるなんて、何が自慢なのかしら!」