森川元碩は広石秋子を見つめ、突然背筋が凍る思いがした。
広石秋子がおばあ様の前でこれほど上手く演技できるなら、自分の前でも演技をしているのではないだろうか?
しかし、すぐにその考えを打ち消した。
人は一日や二日、一ヶ月や一年は演技できるかもしれないが、二十五年も演技し続けることなどできるはずがない。
森川麻理亜は今二十三歳で、彼らは二十五年前から一緒にいたのだ……
一体何を考えているんだ。
それに、自分が何も持っていないわけではない。
今だけでなく、将来、森川おばあ様が亡くなった後も、遺産は平等に分配されるはずだ。森川グループの株式一パーセントでさえ、数百億から数千億円の価値がある。
森川元碩はそこまで考えると、その場を離れた。
栗原愛南と森川辰は会社の将来の発展について議論し、森川辰は本当に報告をするかのように、彼女のためにパワーポイントを作成した。