電話はすぐに繋がった。
広石秋子の声が聞こえてきた。「元碩、どうしたの?用事は済んだの?」
森川元碩は直接切り出した。「済んだよ。迎えに来てくれないか?」
「迎えに行く?どうしたの?結果はどうだったの?」広石秋子の声は焦りに満ちていた。
森川元碩はほっと胸をなでおろした。
先ほど森川北翔と藤原美里に疑われた時、森川元碩は確信に満ちた口調で話していたものの、心の中では不安を感じていた。
しかし今、広石秋子の焦りが彼に安心感を与えた。
森川元碩は低い声で話し始めた。「森川北翔に家を追い出されたんだ。でも心配いらないよ、秋乃。私たちはまた這い上がれる!」
「えっ?森川北翔ってひどすぎるわ!元碩、這い上がるって、どういう意味?何か切り札があるの?」
「そうさ、この何年間もビジネスの世界で無駄に過ごしてきたわけじゃない。人脈もあるし、リソースもある。君が資金を出してくれれば、いつか必ず成功できる」