小島保史も呆然として、すぐに森川麻理亜の方を見た。「今日外出したとき、不動産権利証を持って出かけたの?」
彼は突然、今日見かけたあの人物が森川麻理亜とこそこそと話をしていたことを思い出した……
小島保史は眉をひそめ、疑わしげに森川麻理亜を見つめた。「今日あの人と話していたのは、道を聞いていたわけじゃなくて、実は不動産を担保に入れていたんだね?」
森川麻理亜は慌てて唾を飲み込んだ。「私、私は……これは、これは……」
「何が『これは』なの?」小島愛絵は冷笑して、ゆっくりと森川麻理亜を見た。「うちは目立たない家柄だけど、京都では私たちに逆らう人はほとんどいないわ。あなたが不動産権利証を担保に入れた直後に、私のところに情報が入ったのよ!」
小島愛絵のこの言葉は嘘ではなかった。森川北翔の助けを借りなくても、担保を受け取った側は不動産権利証の物件を見て、すぐに大人しく小島家に報告に来たのだ。
あの物件は小島保史のものだ。小島保史本人が直接売却や担保設定をしたのではなく、森川麻理亜が出てきたのだから、彼らは必ず小島家に報告するはずだった!
小島愛絵は森川麻理亜を見つめた。「なぜ不動産を担保に入れたの?」
小島保史も彼女を見つめた。「なぜこんなことをしたの?佑奈、昨日も言ったでしょう?この家は私が売却するって。あなたが担保に入れたら、価格を下げられちゃうよ!」
森川麻理亜はこの言葉を聞いて、すぐに頭を下げた。「私は……あなたがくれた二百万を投資に回してしまって、引き出せなくて……家を担保にしようと思って……あなたが急にお金が必要だって言うから、売却よりも担保融資の方が早いかなって……」
「じゃあ、なぜ小島保史に黙っていたの?」
小島愛絵は冷静に尋ねた。
彼女も実際何が起きているのか理解できなかった。小島保史は森川麻理亜の治療費のために家を売ろうとしているのに、彼女は不動産権利証を持って密かに担保に入れに行く。これは小島保史が売るのを惜しむと思ったから?
森川麻理亜は唇を噛んだ。「私は、保史さんが面目を失うのを心配して。それに家は大事なものだし、あの家は保史さんの両親が私たちに残してくれたものだから、このまま売ってしまうのは両親に申し訳ないと思って。でも担保なら、後でお金を稼いで、家を取り戻すことができるし……」