小島保史も呆然として、すぐに森川麻理亜の方を見た。「今日外出したとき、不動産権利証を持って出かけたの?」
彼は突然、今日見かけたあの人物が森川麻理亜とこそこそと話をしていたことを思い出した……
小島保史は眉をひそめ、疑わしげに森川麻理亜を見つめた。「今日あの人と話していたのは、道を聞いていたわけじゃなくて、実は不動産を担保に入れていたんだね?」
森川麻理亜は慌てて唾を飲み込んだ。「私、私は……これは、これは……」
「何が『これは』なの?」小島愛絵は冷笑して、ゆっくりと森川麻理亜を見た。「うちは目立たない家柄だけど、京都では私たちに逆らう人はほとんどいないわ。あなたが不動産権利証を担保に入れた直後に、私のところに情報が入ったのよ!」
小島愛絵のこの言葉は嘘ではなかった。森川北翔の助けを借りなくても、担保を受け取った側は不動産権利証の物件を見て、すぐに大人しく小島家に報告に来たのだ。