小島早絵は興奮して言った。「お兄ちゃん、私たち助かったわ!」
小島愛絵の表情は良くならなかった。彼は顔を引き締めて前方を見つめた。「とは限らないぞ」
その言葉に小島早絵は少し戸惑い、もう一度前を見ると、車のスピードがそれほど落ちていないことに気づいた。しかし、前方はすぐにカーブだった。
カーブに差し掛かる時に車が止まっていなければ、建物に激突する可能性が高かった!
まだ危険は続いていた!
小島早絵はすぐに尋ねた。「お兄ちゃん、どうすればいい?」
小島愛絵は顎を引き締めた。
その時、前の車の運転席の窓が突然開き、栗原愛南の細い腕が伸び、手信号を送った!
小島早絵もそれを見て、疑問に思って尋ねた。「彼女、何をしているの?」
小島愛絵は答えずに小島早絵を見て、直接言った。「手すりをつかんで、しっかり座って!」
「え?はい!」
小島早絵が答えた直後、栗原愛南がブレーキを強く踏み込んだことに気づいた!
二台の車は彼女のブレーキで制動され、タイヤと地面が鋭い摩擦音を立て、車は真っ直ぐに前方へ突っ込んでいった!
小島早絵は目の前で車が衝突していくのを見つめていた……
この時、栗原愛南がアクセルを踏んでハンドルを切れば、彼女は無事だったが、彼らの車は抵抗力を失い、前方に衝突して危険な状態になるはずだった!
小島早絵は、もう終わりだと悟った。
前の人がどんなに凄くても、自分の命を賭けてまで彼らを助けるはずがない!
彼女は怖くて目を閉じ、これから起こることを覚悟した。そして、予想通りの衝突音が聞こえた!
「バン!!」
小島早絵の体は激しく震え、全身が振動しているように感じた。
痛みはとても強かったが、予想していた死は訪れなかった。
小島早絵は呆然として、ゆっくりと目を開けると、車のエアバッグが展開し、顔全体がそこに埋まっているのが分かった。
彼女は急いで隣の小島愛絵を見た。
いつも冷静で自制心のある男が、珍しく少し呆然とした表情を見せていた。彼の額に傷があり、衝突でぼうっとしているようだった。
小島早絵は声を上げた。「お兄ちゃん、大丈夫?」
小島愛絵はようやく我に返った。
頭が少し痛かったが、命が助かったことを考えれば大したことではなかった。