第754章

大勢の人々がどやどやとバーに向かった。

そう、朝早くから、みんなバーに行ったのだ。

小島早絵が追いかけていた男がバーにいたからだ。栗原愛南が入店した時、その男は隅のボックス席で女の子を抱きしめていた。

彼女は斎藤愛南と目を合わせ、二人同時に小島早絵を見た。

これで小島早絵もこのクズ男を諦められるだろう?

だって、こんなに遊び人で...外に他の女もいるのに...

しかし意外にも、小島早絵はまるで見慣れた光景のように、すぐに口を開いた:「彼が抱きしめている女の子は彼の彼女で、万由香っていうの」

栗原愛南:?

斎藤愛南は口角を引きつらせた:「つまり、相手に彼女がいるのに、まだ追いかけてるの?」

小島早絵は俯いた:「彼は私のことも好きだって言ってくれたの。それに彼女がいても妻がいるわけじゃない。彼は万由香を見捨てられないだけで、責任を取らなきゃいけないだけなの。将来は私と結婚してくれるって...」