第756章

しかし、小島早絵は斎藤愛南の方を見つめた。「高橋修には事情があるの。彼と彼女は愛し合っているわけじゃなくて、家同士が決めた幼馴染の婚約者なの……」

栗原愛南は「……」

彼女は遠くを見つめた。鈴木万由香と一緒にいる高橋修を。二人は談笑し、鈴木万由香は高橋修の前で優しく振る舞っていたが、それは幼馴染らしからぬ態度だった。

栗原愛南は思わず目を伏せた。

幼馴染の婚約者なんて、栗原愛南から見れば、この鈴木万由香と高橋修は全然親しくないはずだ。でなければ、高橋修が金持ちの息子ではないことを知らないはずがない。

この鈴木万由香の目つきは打算的で、明らかにパパ活女子だった。

彼女は皆の会話を聞いて、徐々に事情を理解し始めていた。

小島早絵は高橋修に助けられた後、彼に恋をした。