第757章

小島早絵はまだイヤホンを外そうとしていた。「こんな風に高橋修のプライバシーを盗み聞きするなんて、怒られちゃうわ……」

でも外す前に、栗原愛南に手で押さえつけられ、耳に押し付けられてしまった。

小島早絵がまだ動こうとすると、イヤホンから高橋修と鈴木万由香の会話が聞こえてきた。

鈴木万由香：「修さん、あの子また何しに来たの？本当に厚かましいわね！」

高橋修が口を開いた：「何しに来るって？俺に会いに来たんだろう……はぁ、こういう奴は、一度ストーカーになったら、ずっとストーカーのままさ。そうでもないと気が済まないんだよ！」

鈴木万由香が笑い出した：「やっぱり修さんは魅力的なのね。でも私だったら、使用人の子供にこんな風に迷惑かけられたら、絶対に首にするわ。どうして首にしないの？」

高橋修が答えた：「まあ、母親が長年うちで働いてきたからな……」

「それにしても、こんなに甘やかしちゃダメでしょう？あなたの車を使わせるのはまだいいとして、普段からあなたのカードまで使わせて……」

栗原愛南も片方のイヤホンをつけていて、これを聞いて小島早絵を見た。

小島早絵は顔を引き締めて説明した：「修さんは見栄っ張りなところがあるけど、本当はいい人なの。鈴木万由香さんには今は成功したって言って、故郷に錦を飾りたいって……」

栗原愛南は冷笑して、続けて聞くように促した。

小島早絵は黙り込んだ。

イヤホンから鈴木万由香の声が続いた：「明日は何の日か覚えてる？」

高橋修はすぐに笑顔で：「もちろん覚えてるよ」

栗原愛南は小島早絵を見て：「何の日？」

小島早絵はすぐに答えた：「鈴木万由香さんの誕生日です」

栗原愛南：？

小島早絵は目を伏せて、黙った。

この日を覚えているのは、毎年この日に高橋修が鈴木万由香の誕生日を祝うからで、しかも……場所は彼女が用意し、お金も彼女が前もって支払っていた。

毎年この日は、高橋修の側にいることを許されなかった。

鈴木万由香のお祝いをするからだ。

栗原愛南はこれを聞いて眉を上げ、この日ではないと感じた。鈴木万由香の口調がおかしかったから……

そう思った時、高橋修の笑い声が聞こえた：「もちろん知ってる、僕たちの出会って3周年の記念日だよ」