第781話

森川麻理亜の言葉が出た瞬間、宴会場は一気に静まり返った。

全員が驚いて彼女を見つめた。

栗原愛南は呆然としていた。

小島愛絵も固まり、小島早絵もしばらく呆然とした後、急に目が赤くなった。「お兄ちゃん、大腸がんなの？いつからなの？どうして私に言ってくれなかったの？」

彼女は高橋修の裏切りを知った時よりも激しく涙を流した。「どうしてこんなことに……」

小島保史は彼女を慰めようとして、自分ではないと言おうとしたが、言葉が出る前にまた吐き始めた。

彼はピーナッツアレルギーで薬を飲んだので、深刻ではなかった。主に食べたピーナッツを吐き出せば、体も楽になった。

彼が言葉を発することができない中、森川麻理亜が口を開いた。「最近診断されたの。あなた、死なないで。あなたがいなくなったら、私はどうすればいいの？」

彼女は小島愛絵の方を向いて言った。「お兄さん、彼のために正義を！」

小島愛絵は冷たい目で森川麻理亜を見つめ、そして栗原愛南の方をじっと見て、尋ねた。「どんな正義を？」

「叔父さんと伯母さんは、保史がこの病気にかかっていることを知っていて、わざと毒を入れたんです。以前あなたが彼らと協力しなかったことで、保史に八つ当たりしたんです。私の可哀想な夫…全て私のせいよ！」

森川麻理亜は泣きながら、自分も吐き気を催してきた。

今日はどうしたんだろう？

なぜこんなに胃の調子が悪いんだろう！

しかし彼女は我慢した。結局のところ、栗原愛南の方に注目していたし、今日森川家と小島家が再び決裂することを期待していた。そして……

小島保史が死んでも、彼女は小島家に残り、小島愛絵に庇護してもらえる！

そう考えると、森川麻理亜はさらに悲しそうに泣いた。

小島早絵も我慢できずに栗原愛南の方を見た。「愛南お姉さん、これはどういうこと？魚のスープになぜ毒が入っていたの？」

栗原愛南は答えた。「私がやったんじゃない。この薬は料理に使えるようなものじゃないわ。誰がこんなものを家に置いているの？」

小島早絵はすぐに頷いた。「そうね、絶対にお姉さんがやったわけじゃない。」

森川麻理亜はすぐに口を開いた。「早絵、彼女の言葉を信じちゃダメ。彼女じゃないとしたら、誰がやったの？ここは森川家よ！」