森川麻理亜はその言葉を聞いて呆然とし、信じられない様子で小島保史を見つめた。「何て言ったの?」
小島保史は即座に慌てて彼女を支えた。「私が言ったのは、大腸がんになったのは実はあなたなんだって……麻理亜、病院でもらった薬は?持ち歩いているでしょう?早く、私が飲ませてあげるから!」
彼は急いで森川麻理亜のバッグを探り始めた。
森川麻理亜は呆然としていた。「保史、何を言い出すの?私がどうして大腸がんなんかになるわけ?私は全然元気よ……」
しかしその言葉が終わるか終わらないかのうちに、さっきまで抑えていた吐き気が一気に込み上げてきた。
今度は、もう抑えきれなかった。彼女は胸を押さえながら吐き始めた。
さらに、小島保史の言葉のせいなのか、下腹部が激しく痛み始め、一瞬にして額に冷や汗が浮かんだ。
大腸がん……
大腸がんになった人が、まさか彼女だったなんて?
森川麻理亜は即座に手を伸ばし、小島保史の腕を掴んだ。「保史、私、死にたくない、助けて……」
小島保史はすでに彼女のバッグから薬を取り出していた。「麻理亜、大丈夫だから、心配しないで。これは特効薬だから、たとえあの物を食べたとしても、これを飲めば良くなるから!」
そう言うと、彼は震える手で薬瓶を開けた。
森川麻理亜は即座に口を開け、薬を飲み込んだ。
彼女は混乱し、途方に暮れていた。
この瞬間、恐怖が心を襲い、体全体が震えていた。
彼女は死にそう?
彼女が大腸がん?
そんなはずない……あり得ない!
いやいやいや、死ぬわけにはいかない……
しかしそう思えば思うほど、突然腹部の痛みが激しくなり、彼女は小島保史を掴んで叫んだ。「保史、すごく痛いの、どうしよう?」
小島保史はその言葉に呆然とし、隣の薬瓶を見つめた。「これは特効薬で、医者が言うには痛み止めの効果があるはずなんだ。おかしいな、どうして痛むんだろう?」
森川麻理亜の視線は、ようやく小島保史の視線に従って隣を見て、その薬瓶を見つけた……
そうか……これが彼女に飲ませる特効薬だったのか?
でも!!
彼女は病院で、特効薬をビタミン剤と交換してしまったのに!!
この薬は、全然効かないはず!
森川麻理亜は焦り、また吐き始めた。今度は、吐いたものの中に血が混じっていて、それは黒かった!