第783章

森川麻理亜は一瞬呆然としたが、すぐに説明した。「保史、彼の言うことを聞かないで。私はあなたが病気だったなんて知らなかったの。薬を飲みすぎるのは体に良くないと思って、ビタミンに替えただけよ!本当にその時は知らなかったの。」

小島保史はほっと安堵し、小島愛絵を見た。「兄さん、彼女は知らなかったんです。」

小島愛絵は、普段は賢い弟が、学業も優秀で、会社での仕事も要領よくこなすのに、なぜこの女のことになると頭が働かなくなるのか不思議に思った。

彼は直接森川麻理亜に向かって言った。「じゃあ、いつ保史が大腸がんだと知ったんだ?」

森川麻理亜はすぐに答えた。「昨日です、そう、昨日…昨日保史の病歴を見て…彼が病気だと思って…」

彼女は小島保史を見つめた。「あなた、私を信じて。なぜ病歴があなたの名前になっているの?」

小島保史はため息をついた。「君に知られたら精神的なダメージを与えると思って、全部僕の名義で君を病院に連れて行ったんだ。」

森川麻理亜はようやく口を開いた。「あなた、私のことを考えてくれてありがとう。こんなに気遣ってくれて。私のことを信じてくれてるわよね?」

小島保史は小島愛絵の方を向いた。「兄さん、僕は佑奈がそんな人じゃないと信じています。」

小島愛絵は深いため息をついた。

傍らの橋本南が突然口を開いた。「あなた、昨日旦那さんが大腸がんだと知ったばかりなのに、どうして私たちの愛南がスープに毒を入れて彼を害することができるの?そんな無茶なことを言わないで…」

小島保史は眉をひそめ、疑わしげに森川麻理亜を見た。「そうだね、佑奈。僕は病気じゃないんだから、僕を害するということもありえない…」

森川麻理亜は今や歯ぎしりして血を飲み込むような思いだった。

もし自分が大腸がんだと知っていたら、どうして毒を入れるだろう!自分の命を縮めることになるのに?

彼女は後悔のあまり自分を平手打ちしたい気持ちだった!

彼女は唇を噛みながら、突然小島保史の方を向いた。「じゃあ彼らはあなたを害そうとしたんじゃなくて、私を害そうとしたのよ!彼らはどこかで私が大腸がんだと知って、わざと私を害そうとしたの!」

この言葉を聞いて、森川麻理亜は小島保史の表情が少し恍惚としているのを見た。すぐに追及した。「あなた、彼らは私が大腸がんだって知ってたの?」