「でも、今のところ墨野宙との関係を公表するつもりはないわ」天野奈々は落ち着いた様子で言った。彼女の顔に浮かぶ笑顔は自信に満ち溢れ、輝いていた。「墨野宙を利用すれば、確かに一気に成功できるわ。でも、みんなは『あれが墨野宙の妻だ』とだけ言うでしょう。モデルの天野奈々とは言わないわ。3年前、私は東京のトップモデルになれた。3年後も、自分の努力で本来私のものだったものを取り戻せるはず」
「中村さん、もし私を助けてくれるなら、一緒に頑張りましょう。嫌なら無理強いはしないわ。スカイ・エンタメとの契約解除を手伝って、もっといい会社を見つけるわ」
「何言ってるの?もちろんあなたのそばにいて、国際的スーパーモデルのトップマネージャーになるわよ」中村は天野奈々に向かって断固として言った。「でも、まだスカイ・エンターテインメントに残るつもり?」