天野奈々のスキャンダルが出た後、スカイ・エンタメと雨野柔子は外部からかつてないほどの痛烈な批判を浴びた。これは冬島翼がスカイ・エンタメを設立して以来、最大の危機だった。そのため、彼の天野奈々に対する嫌悪と憎しみは、心の中で考えるだけではすまないものだった。
会社の上層部は直ちに緊急会議を招集し、冬島翼は海外にいる姉にも助けを求めた。
「たかし、ニュースはすでに見た。天野奈々の証拠は明白で、この件は確かにあなたがやり方が不用意だったせいで、弱みを握られてしまったのよ。でも、下半身の問題に振り回されないで。時勢を見極める必要があるわ。あなたが会社の主宰者だということを忘れないで。天野奈々がどんなに人気があっても、彼女はただのモデルよ。彼女の運命はあなたの手の中にあるのよ。」
「じゃあ姉さん、今どうすればいいんだ?」冬島翼は天野奈々と雨野柔子に頭がくらくらしていた。
「まず、誠実に謝罪する広報文を出して、今後天野奈々に相応の敬意と待遇を与えると述べ、怒っているネットユーザーを宥める。次に、天野奈々を持ち上げる。」
「でも…柔子が同意するはずがない。」冬島翼は頭を抱えて言った。
「雨野柔子を見捨てろとは言っていないわ。ちょうど手元に海外の雑誌があって、アジアのモデル2人を必要としているの。天野奈々と雨野柔子を一緒に撮影に参加させるように手配して、彼女たちの関係が外部が想像しているほど水と油ではないことを証明するのよ。それに、二人が一緒になれば、話題性は間違いなく高くなるわ。この雑誌は一流ブランドではないけど、少なくとも国際的なつながりはある。これは雨野柔子が年間トップ10モデルを目指すのにも役立つわ。天野奈々の人気を借りて雨野柔子を成功させるのよ。たかし、覚えておいて。危機は転機でもあるの。これをうまく利用すれば、スカイ・エンタメの名声は必ず上昇するわ。」
冬島翼は冬島雪(ふゆしま ゆき)の助言を聞いて、すぐに目から鱗が落ちた。やはり年長者の方が賢明だ。「姉さん、わかった。」