証拠を入手

「相手は賢くて、ボイスチェンジャーを使っていることを知っていたので、この録音だけでは誰が首謀者かわかりません」陸野徹は説明した。このような事態は彼にとっては珍しくなかった。結局のところ、この業界はそれほど暗いものだった。「どうやら、ベテランのようですね」

「メディアに伝えて、相手に電話をかけ直させてください。録音の内容を繰り返すよう誘導し、警戒心を抱かせないよう注意してください。同時に、スカイ・エンタメの誰が電話を受けているか確認し、こっそり跡をつけて証拠を集めてください」墨野宙は携帯電話を閉じ、その瞳の色は底知れぬほど深かった。

「わかりました、社長」陸野徹は頷いて答え、確固たる足取りで立ち去った。

同時に、墨野宙もパーティーに戻り、鋭い目で片隅にいる冬島姉弟を見た。実際のところ、テストをしなくても分かることだった。このような手口を使える人物は、大きな場面を経験した冬島雪しかいない。もし冬島翼がこのようなことを思いつくなら、彼は今日のような立場にはいなかっただろう。