第104章 禍を他に転嫁する

翌朝早く、中村さんは山田旭の完全な資料を持って、コーヒーショップでパパラッチの従弟と秘密裏に会った。従兄弟二人は、一人は陸野、もう一人は冬島という姓だった。陸野は前回中村さんを恐喝したパパラッチで、目の前にいる小柄な男の従兄でもあった。

男は冬島保と言い、黒いプリントTシャツを着て、下はダメージジーンズを履いていた。髪型はスタイリッシュにセットされており、明らかに享楽派の人間だった。中村さんを見ると、サングラスを外し、眉を上げて言った。「俺を呼び出したのは何かあるのか?」

中村さんは相手が天野奈々の黒い記事を出す準備をしていることを知らなかったので、すぐに本題に入った。「もし儲かる取引があると言ったら、お兄さんに内緒で単独でやる勇気はある?」

「どれくらい儲かるんだ?」