薄暗い部屋の中で、二人は見つめ合っていた。
ただ、佐藤宏は山田静香が自信過剰だと感じていた。
もし、ここ数年山田静香が表舞台と裏舞台で手腕を駆使して資源を獲得してきたとすれば、佐藤宏の行動スタイルは天野奈々により近く、同じく物静かで、獲物が焦るのを見るのが好きだった。
しかも、山田静香は最近まず天野奈々に混乱させられ、今度は安藤皓司に追い詰められて、すでに取り乱していた……
「神野社長はあなたが思っているほど簡単には対処できないよ」
「偽善者、臆病者!」山田静香は直接佐藤宏の目を見つめて怒鳴った。「あなたはいつも安全を求めて勝とうとする。誰かを犠牲にすることも厭わない。協力してくれないなら仕方ない。明日は私一人で神野真美に会いに行く」
そう言うと、山田静香は立ち上がって出ようとしたが、佐藤宏に腕を掴まれた。「手伝わないとは言っていない。明日一緒に神野社長に会いに行こう」