第159章 君と共に狂うべきではなかった

人気俳優が降板。

  この事実を人気俳優本人がネット上で暴露し、瞬く間に多くのファンがコメントし、人気ブロガーたちが次々と拡散した。

  かつて凌川の気性に耐えていた人々や、現在耐えている人々は、密かに笑いを抑えきれなかった。凌川の地位や背景を考えると、彼を降板させる人物は狂人か英雄に違いない。誰もが、その人物はもう芸能界でやっていく気がないのだろうと推測していた。

  さらに、凌川のスケジュールに注目する人もいた。今はLMの広告撮影中のはずだが……凌川はこのタイミングでこのような発言をした。

  LM側の降板を暗示しているのか?

  ファンたちは非常に興奮していた。結局のところ、凌川は彼女たちの心の中で神聖な存在であり、彼女たちの心の中のアイドル、輝かしいスーパースターが降板させられたというのだ。

  耐えられない!

  一方、別のファンたちは、今回の広告の女性主役が、ベテランの天野奈々であることに注目した。

  天野奈々……

  また天野奈々か。彼女はいつも何かと騒動の中心にいるようだ。

  そこで、ある人が声を上げた。「天野奈々って一体どうなってるの?なんで何かあるたびに彼女が関わってるの?」

  「天野奈々を引き合いに出すな。彼女はただのモデルで、広告撮影で自分の仕事をしているだけだ。降板なんて、彼女には干渉する権利もない」天野奈々のファンたちは、すぐに自分のアイドルを擁護した。

  「そう早急に言うな。後で恥をかくぞ」

  「ふふ、天野奈々はずっと控えめだったけど、急に人気が出すぎて、他の人の邪魔になったんでしょ。だから黒い噂をたてられるんだよ」

  マネージャーの車の中で、安藤皓司はネット上のコメントを見ながら、天野奈々の方を振り返った。彼女が平然とした表情をしているのを確認してから、彼女に言った。「凌川がネットで降板騒動を大々的に騒いでいる。午後に休暇村に行ったら自分が降板させられていたことを知って、激怒して直接ネットに暴露したそうだ」

  「あんな甘やかされた坊ちゃんが、自分が降板させられたのを目の当たりにしたら、さぞ滑稽な光景だったでしょうね」中村さんが後部座席で興奮を抑えきれずに言った。