第236章 犯人が見つかった

「何も問題ないって言ってたじゃない」深水藍華は約1メートルの高さのステージを見て、天野奈々が先ほど転がり落ちたことを思い出し、急いで彼女の腕をつかんで確認した。「絶対にニュースになるわよ。他の人が見ていないと思ってるの?」

深水藍華は天野奈々の心配を知っていたので、墨野宙の代わりに「他の人」という言葉を使った。

しかし、天野奈々は少し笑って説明した。「幸い、下はカーペットだったから……」

授賞式の司会者も駆け寄って来て、天野奈々を助け起こした。「歩けますか?病院に行った方がいいですか?」

天野奈々は首を振った。実際、転倒した瞬間だけ痛みが強かったが、転がり落ちる時はそれほど感じなかった。

「わかりました。少し休んでください。何か必要なことがあれば、いつでも言ってくださいね」司会者は天野奈々を慰めた。「無理をしないでくださいよ……」

司会者は舞台に戻り、先ほどの awkward な場面を上手くフォローした。会場の雰囲気もすぐに回復し、授賞式は続行された。しかし、天野奈々が転倒したというニュースはすぐに漏れ出てしまった……

警備員は先ほどのキャップを被った男を連れ戻した。17、18歳くらいの少年で、顔にニキビがあり、少し反抗的な様子だった。

「彼はあなたの熱烈なファンで、あまりにもあなたが好きすぎて一時的に制御を失ったと言っています……」中村さんは警備員の説明を天野奈々に伝えた。「ただの子供だし、あなたも大丈夫そうだから、警備員も彼を厳しく扱えず、注意を与えて解放するしかなかったようです」

「信じる?」深水藍華は会場を見回しながら天野奈々に尋ねた。

天野奈々は首を振ったが、心の中では常に一つの物差しがあった。少なくとも、彼女は範囲を絞り込むことができた。「スターキングの人間と無関係ではないわ」

「でも証拠がないわ」

「だから、今は我慢するしかない」天野奈々は冷静に言った。声は非常に小さかった。深水藍華はわからないかもしれないが、中村さんはよく知っていた。この時の天野奈々は、ただ爆発を待っているだけで、決してこのまま許すつもりはなかった。

「先に帰る?」