第241章 このCPなら、私は絶対に推す

墨野宙と天野奈々の関係について……

　　世間では様々な噂が飛び交っているが……誰もあえて大騒ぎをする勇気はない。海輝の広報のおかげで、情報の真偽を確かめる術がないからだ。

　　天野奈々は腰の怪我で一晩眠り続け、昼に目覚めた時には喉がかすれて、ほとんど話すことができず、簡単なジェスチャーでしか意思を伝えられなかった。

　　墨野宙はベッドの端に座って彼女を抱きしめ、彼女の傷を確認した。擦り傷と軟部組織の損傷があるため、天野奈々はこの状態で最低でも15日間は完治までかかるだろう。

　　天野奈々は墨野宙の体に寄り添い、懸命に彼の匂いを吸い込んだ。まるで毎日欠かせない栄養素のように。

　　墨野宙は彼女をそっと下ろし、自分の膝の上に頭を乗せさせ、心配そうに彼女の額の前髪をかき上げた。「早く良くなってね」

　　「また一晩中休まなかったの？」天野奈々は苦労して体を回し、仰向けになって墨野宙に尋ねた。まつげが小刻みに震えている。

　　「僕だって神様じゃないんだから、もちろん休んださ」墨野宙は手を伸ばして天野奈々のやせた頬を撫で、それから続けた。「海外であるコンテストがあって、君の名前をもう登録したんだ……」

　　「どんなコンテスト？」

　　墨野宙の瞳は天野奈々の体を下へ下へとなぞり、彼女の両脚で止まった。「まだ入賞できるかどうかわからないから、今は言わないでおこう」

　　「橋本ことは……まだ自ら謝罪に来ていない？」

　　「11時59分までは、彼女はおそらく何も言わないだろうね！」墨野宙はこういった人々の心理をよく理解していた。しかも橋本ことはもともと負けを認めたがらない性格だ。最後の瞬間まで、どんな決断をしても納得できないだろう。

　　「わざとそうやって彼女を焦らせているんでしょう？」天野奈々は笑いながら、手を伸ばして墨野宙の手を握り、指を絡めた。

　　墨野宙は天野奈々の気分がリラックスしているのを見て、ネットユーザーがまとめた投稿を取り出し、天野奈々に見せた。

　　天野奈々は外界の様々な憶測を見て、突然緊張し、戸惑いも感じた。「みんな気づいているの？」