第268章 これは甘い諦め

写真?

  海輝の従業員はいるけど、絶対に外部に漏れることはないわ。でも、彼女がまだ海輝の従業員なら、入手するのはそれほど難しいことじゃないわ。でも、違約金は?

  1億円もするのよ、夏目凛はちょっと冒険する勇気がなかった。

 「写真を手に入れてくれさえすれば、どんな条件でも好きなように言ってよ」森編集長は大口をたたいた。

 「でも、海輝の秘密を勝手に漏らしたら、最後はろくな目に遭わないわよ」

 「それなら簡単じゃない?あなたたち海輝の従業員が、携帯を落とした...あなたはただ拾っただけ、誰のせいにもできないでしょ?最後に墨野宙が追及しても、携帯を落とした人のせいで、あなたのせいにはならないわ」

 夏目凛は考えてみて、それなりに理にかなっていると思った:「私に何の得があるの?」

 「華栄スタジオの株式よ。そのうち、天野奈々の件が爆発したら、華栄は名が売れるわ。あなたにお金を渡す人が少なくなるとでも思う?」森編集長は夏目凛に向かって軽薄な笑みを浮かべた。

 夏目凛は考えた末、最後にはあのタレントたちや天野奈々さえも自分に頭を下げに来るかもしれないと思うと、異常に興奮した。これは金儲けよりもっと快感があった。だから最終的に夏目凛は頷いて、署名した。次は海輝に行って天野奈々とモデルの親密な証拠を手に入れること。うまくいくことを願うわ。でなければ、墨野宙に捕まったら...

 彼女は体中バラバラにされるわ!

 ……

 夜会が終わった後、墨野宙と天野奈々は酒臭い体で家に帰ってきた。

 家に入るなり、天野奈々は少し酔っ払って墨野宙を引っ張って回り始め、最後には二人ともソファーに倒れ込んだ。天野奈々は墨野宙の上に乗って、鼻先で彼の首筋をこすりながら言った:「宙...私、とても幸せよ」

 「わかるよ」墨野宙は彼女にこすられるままにしていた。実際、このようにリラックスした天野奈々を見るのは珍しかった。彼女が心の底から笑顔を見せるのは本当に稀で、特にあんなに多くの見知らぬ人の前では。

 もし彼女がずっとこんなに幸せで楽しそうにしていられるなら、彼は何でもする覚悟があった。

 「他に何ができるの?ダンスは?できる?できる?」