「海輝を手に入れるのか……」村上隼人は軽く鼻で笑い、そして相手に答えた。「認めたくはないが、墨野宙は非常に優秀なリーダーだ。この点は誰も否定できない。そして、墨野宙の存在によって、少なくとも芸能界の悪習を正すことができる。しかし、墨野宙がいなくなれば、海輝は……単なる芸能事務所に過ぎなくなる。」
「芸能界というのは、元々名声と利益を追求するものだ。君だって名誉と利益のために天野奈々を追いかけ続けているんじゃないのか?」相手は深く鋭く村上隼人の偽善を指摘した。「私が求める芸能界は、繁栄であり、競争だ。墨野宙のような、誰もが本分を守るようなものではない。」
「それに、墨野宙が本当に公平無私だと思っているのか?少なくとも天野奈々のことに関しては、彼はもはや昔の墨野宙ではない。」