第323章 ストライキ！

歓迎の宴会は真夜中の12時まで続き、天野奈々が墨野宙を部屋に連れ戻したとき、彼は目を固く閉じ、何も言わなかった。もちろん、顔を赤らめたり、他の酔った行動をとることもなかった。これは天野奈々の推測通りのようで、墨野宙がどれだけ酒を飲んでも、決して自分を取り乱すことはないようだった。

天野奈々が墨野宙をベッドに寝かせ、お風呂の準備をしようとしたとき、突然墨野宙が彼女の腕をつかみ、強く自分の胸に引き寄せた。

「酒臭いわ。先にお風呂に入って。」

墨野宙はゆっくりと目を開け、天野奈々の目を見つめた。「君が僕の酔った姿が見たいと言ったんじゃないか？」

「あなたのどこが酔ってるの？」天野奈々は彼の胸を軽く叩いた。「でも、なんでこんなに酒に強いの？みんなあなたにやられちゃったわ。」

「僕は酔えないんだ。」墨野宙は真剣に言った。

その一言で、突然天野奈々は墨野宙の辛い過去を感じ取った。

かつて、墨野宙にも未熟な時期があった。彼も酒を飲んで商談をしなければならなかった。もし冷静さを保てなかったら...天野奈々は想像したくなかった。

「お風呂に入りましょう...」

「でも、君は僕が酔っているふりをしていると思ってもいい。」墨野宙は天野奈々に任せる姿勢を見せ、手足を広げた。

「私はあなたが冷静なまま、私を抱きしめて、物語を聞かせてくれる方がいいわ。」

「でも僕は別のことをしたい...」そう言うと、墨野宙はベッドから起き上がり、天野奈々を抱き上げた。「せっかく酒で気分が高まったんだ。バリ島のこんな素敵な部屋を無駄にしないようにしよう。」

...

翌日、深水藍華と山本修治の結婚式が行われた。両家とも親族がいなかったため、すべてが簡素化された。

こう考えると、天野奈々が深水藍華唯一の実家の人間ということになる。

芽衣がフラワーガールを務めた。もちろん、彼女の身元は公表されなかった。大人の勇気の問題ではなく、ただ子供がこの年齢で注目を浴びることを望まなかっただけだ。

新婚部屋で、深水藍華はすでにストラップレスの白いウェディングドレスを着ていた。ふわふわしたデザインが好きではなかったので、スカート部分は百褶のデザインで、床まで引きずっていた。