第410章 随分と図々しいな、私の代わりに決めるなんて?

「奈々、今回は胸を張っていいわ!」

これは試写会の二回目を見た後のファンの感嘆の声だった。天野奈々は誰も失望させることなく、彼女を支持する全ての人々に胸を張らせた。

彼女は脇役で、出演シーンは多くなかったものの、観客に深い印象を残し、まさに衝撃的な演技を見せた。

天野奈々の演技のおかげで、この話題が再び取り上げられ、今回は多くの観客の評価があったため、以前の誹謗中傷の投稿が再び話題になった。そして奈々を中傷した「業界人」の正体も暴かれ、それは競争相手の手段に過ぎないことが業界では周知の事実となった。

二回目の試写会が終わり、興行収入は1000万円には届かなかったものの、座席占有率は一回目の倍になり、『魔王スピアキング』を上回るほどだった。

対抗作品は二回目の試写会を行う勇気がなかった。一回目の後、評価は既に極端な二極化を見せており、特に『バカ弟子』との対比で、数億円の投資と大作並みの特殊効果は、ファン以外には観客を動員する魅力が全くなかった!

墨野宙は常に着実な勝利を求めており、二回の試写会の結果から見ると、『バカ弟子』は既に復活の兆しを見せ、多くの業界人に痛烈な一撃を与えた。

もちろん、これだけでは十分ではない!

結局、これはメインストリームの映画ではなく、ここまで来ても勝敗は分からない。全ては一般公開での興行収入次第だ。

しかし、墨野宙の戦略の下、海輝全体は『バカ弟子』の前途を全く心配していなかった。

なぜなら墨野宙は、伝説的な存在だからだ。

これこそが彼が天野奈々と生涯を共にできる理由でもある。彼らは本質的に、あまりにも似ているのだ。

外界がどれほど浮ついていても、彼らは常に冷静な頭脳を保ち、素早く正確な判断を下し、最後には全ての人々の予想を覆すのだ。

予想通り、二回目の試写会の後、彼に個人的に連絡してきた監督が、一晩のうちに急増した。

彼のような後ろ盾があり、天野奈々のような演技力があれば、積極的にアプローチしない者こそ馬鹿者だ!

しかし、本当の大技は、まだ後に控えている。

なぜなら『奇夫』の情報は、まだ公表されていないから……

彼は確信している。『奇夫』の公開は、さらに大きな反響を呼ぶだろうと!