第538章 第6位

いわゆる正面からの攻撃は避けやすいが、背後からの一撃は防ぎにくいものだ。

そして今この瞬間、天野奈々はようやく理解した。これまでの道のりで多くの災難に遭ったのは、このような競争環境に身を置き、このような立場にいるからこそであり、今日、彼女でなく他の誰かであっても、誰かの受賞の邪魔になれば、同じ結果になっただろう。

そう考えると、彼女の心は急に晴れやかになった。

背後で操っている人物は、確かに自分の所属する俳優の受賞に対して、必ず成し遂げるという決意を持っているのだろう。しかし、忘れないでほしい。今年の選考に天野奈々が参加しているのだ!

彼らは確かに手広く力を持っているが、それは墨野宙がこれまで日本アカデミー賞の選考に干渉しなかったからだ。今回、相手は知らずに天野奈々に手を出した。彼の妻に手を出したのだ。彼が相手を許すはずがあるだろうか?特に三回の警告で得点がリセットされるような状況で、彼が誰かに奈々の得点率を下げさせるのを許すだろうか?