この二日間。
『奇夫』が正式に上映を終了し、最終的に興行収入は20億円に迫る好成績を収めました。天野奈々は並外れた動員力を見せ、2本の映画の累計で、現在最も人気のある興行女王となりました。
『バカ弟子』と『奇夫』の2作品で、彼女は優秀な女優としての基盤を築きました。今回の日本アカデミー賞では受賞できませんでしたが、多くの人々の心の中で、間違いなく最優秀新人女優賞に値する存在でした。
もちろん、日本アカデミー賞の競争は依然として激しく、田中翠のファンたちは至る所で天野奈々を中傷し、これには墨野様が介入しているのではないかと考えていました。誰も自分の推しが他人より劣っていることを認めたくないものです。田中翠は人格的には最悪でしたが、演技に関しては確かに文句のつけようがなく、これが彼女のファンが納得できない主な理由でした。
「今回他の人が受賞するならまだしも、天野奈々なら絶対に納得できない。だって天野奈々と田中翠の演技は、優劣つけられないはずだから。」
「最近の賞はどんどんレベルが下がってる。明らかに裏があるよ。」
この数日間、誰が新人賞を獲得するかについての議論が多く交わされていました。今回は最も見どころがあり、競争も最も激しかったからです。人々は天野奈々が関わる場面では、まるで見世物を見るような心持ちになることに慣れていましたが、引退を表明した女優に、どんな資格があるというのでしょうか?
「引退した女優に賞を与えるのは、現役で頑張っている人たちへの皮肉だと思う。」
「引退することについては何も言えない。誰にでも自分の選択があるからね。でも...賞は、今も一生懸命演技している人に与えるべきでしょう。」
天野奈々の引退については、実は外部からも早くから声が上がっていました。
彼女の作品は続々と公開されていますが...引退は結局のところ、彼女が女優という役割を一時的に、あるいは長期的に放棄することを意味していました...
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深夜、柴崎知子は自宅で一人酒を飲みながらテレビを見ていました。エンターテインメントニュースでは今回の日本アカデミー賞の予想を放送しており、彼女の目には陰りと嘲りが浮かんでいました。
「天野奈々は今回受賞できないわ。」
突然、背後から冷たい声が聞こえ、柴崎知子が振り返ると婚約者の姿があり、すぐに尋ねました。「なぜ?」