「では、オスカーアカデミー脚本賞受賞者で、国内最高の価値を持つ監督である中野風太先生をお迎えし、ご挨拶と本日の日本アカデミー賞の最初の賞の発表をお願いしたいと思います」
拍手が鳴り響く中、白髪まじりの老紳士が黒縁の眼鏡をかけ、キラキラと輝く授賞台にゆっくりと上がっていった。マイクの前で両手を組み、力強い声で話し始めた。
「お世辞は、もう十分に言われてきました。今回は、私からは多くを語りません。ただ一つ、私の心に強く残った興味深いことをお話ししたいと思います。今年の新人賞は、非常に競争が激しく、その注目度は今夜発表される他の賞を上回るほどです。これは日本アカデミー賞の歴史で初めてのことです」
「そこで、私はノミネートされた俳優たちの作品を見ました。霧島雛の『栄光』、伊藤ふみおの『舊部族』、佐藤リナの『緑の血の弾丸』、そして天野奈々の『奇夫』、さらには除名された新井光の映画作品も...」