最優新人賞!
この五文字を聞いて、会場の内外で、どれだけの人がこの賞の行方を見守っているのだろうか?
「続いて、今回の日本アカデミー賞の最優新人賞を発表させていただきます。授賞者として、映画協会会長、一級監督そして俳優の山田清先生、そして月日メディアの名誉会長である板垣和美さんをお迎えしたいと思います。」
会場からの熱い拍手を聞き、映画界の重鎮である二人が登壇する様子を見て、多くの人が意味深な笑みを浮かべた。今回の新人の呼び声が高いとはいえ、本来最も重要な映画帝王・映画女王賞を、新人賞の引き立て役にしてはいけないはずだ。
「山田先生は、映画界の大先輩ですね...」板垣和美さんは老人に向かって拍手を送った。
「板垣さんも、映画界で数々の奇跡を生み出してこられました」老人は穏やかな笑みを浮かべながら答えた。「しかし、今の映画市場は、私たちの時代とは比べものにならないほど変わってしまいましたね。」