最優新人賞!
この五文字を聞いて、会場の内外で、どれだけの人がこの賞の行方を見守っているのだろうか?
「続いて、今回の日本アカデミー賞の最優新人賞を発表させていただきます。授賞者として、映画協会会長、一級監督そして俳優の山田清先生、そして月日メディアの名誉会長である板垣和美さんをお迎えしたいと思います。」
会場からの熱い拍手を聞き、映画界の重鎮である二人が登壇する様子を見て、多くの人が意味深な笑みを浮かべた。今回の新人の呼び声が高いとはいえ、本来最も重要な映画帝王・映画女王賞を、新人賞の引き立て役にしてはいけないはずだ。
「山田先生は、映画界の大先輩ですね...」板垣和美さんは老人に向かって拍手を送った。
「板垣さんも、映画界で数々の奇跡を生み出してこられました」老人は穏やかな笑みを浮かべながら答えた。「しかし、今の映画市場は、私たちの時代とは比べものにならないほど変わってしまいましたね。」
「先生、なぜそのようなため息をつかれるのでしょうか?」
「演技をする人が減って、見せびらかしをする人が増えている。物語を語る人が減って、観客を愚弄する人が増えている。安っぽいCGが飛び交うばかりなのに、興行収入と観客動員数は記録を更新し続けている。私にはもはや、この時代の美的感覚が理解できなくなってきた...年を取りすぎたのかもしれませんね。」老人は皮肉めいた口調で大きな声で答えた。
「この新人賞にしても、確かに新人を励ますことは大切ですが、人々の目は、一生涯演技に打ち込んできた偉大な芸能人たちに向けられるべきではないでしょうか?」
「他の業界で行き詰まって、俳優に転向してきた芸能人には、特に反感を覚えます。確かに俳優は稼げる職業ですが、それは観客の美的感覚を低下させ、この業界の健全な発展を妨げているのです。」
「先生は本当に...率直すぎますね。」板垣和美さんは少し困ったように相づちを打った。
なぜなら、彼の言葉は、あまりにも的確すぎたからだ。
彼はもう少しで天野奈々の名前を出すところだった!
古い世代の人々は、非凡な成功を収めているが、プライドも高く、現代の市場形態を軽蔑している。まして、天野奈々は途中から俳優になった人物だ。