第596章 清算

医師は天野会長の選択を不思議に思った。孫娘に対してこれほど冷酷な祖父を見るのは珍しかった。

しかし、これは家族の選択であり、医師が大きな責任を負う必要はない。ただ、天野茜と赤ちゃんを救助する際に最善を尽くせばよかった。

それに、祖父と孫の間にどれほどの恨みがあれば、実の祖父がこのような言葉を口にするのだろうかと、想像するのは難しかった。

それは、彼女が天野茜の憎むべき点を本当に知らなかったからだ!

……

さらに30分の焦りに満ちた待ち時間が過ぎ、今度は墨野玲奈も天野家から病院に駆けつけ、天野茜の現状を尋ねた。「まだ出てこないの?」

天野会長は椅子に座り、深い思考に沈んでいた。しばらくしてから、ようやく頷いた。「もしかしたら、出てこないかもしれない……」

「お父様……」墨野玲奈は驚いて天野会長を見つめた。会長が天野茜に対してここまで冷酷になれるとは、とても信じられなかったからだ。