第567章 証拠を出せば済むことでしょう?

しかも、今回の記者会見に新鮮味を加えるため、山本修治は相当な工夫を凝らした。記者たちに海輝広報部の馴染みの顔ばかり見せるわけにはいかず、新しい人材を登場させる時期だと判断したのだ。

そのため、墨野宙との電話を切った後、山本修治はある人物に連絡を取った。その人物は、とある人に連れられて長い間姿を消していたのだが。

翌日午前9時。

海輝の記者会見が間もなく開催される。会場はDenseStarホテルの宴会場5号室で、500人を収容できる広さだった。

無名の芸能人なら、どこかの通りや会社の前でも記者対応は十分だったかもしれない。しかし、これは人気スター天野奈々に関する会見だ。天野奈々という名前に少しでも関係があれば、たちまち無数の注目と議論を呼ぶ。彼女のキャラクター設定は、まるで話題性のオーラを纏っているかのようだった。

豪華な宴会場には、記者たちが続々と到着していた。海輝の厳格な要求により、入場する記者は全員、所属する会社の身分証を着用し、本人確認も行われた。海輝の要求は多かったものの、記者たちは積極的に協力していた。

なぜなら、彼らはよく分かっていた。すぐにエンターテインメント欄のトップニュースが手に入るということを。

午前9時30分、参加者が続々と入場し、海輝はこの記者会見をネットでもリアルタイム配信することにした。情報を広く拡散させるためだ。

もちろん、同じ時刻、当事者の新井光も、傍観者の田中翠も、墨野夫婦の名誉が失墜するのを見届ける準備を整えていた。

特に日本アカデミー賞が天野奈々を除名する件については、まだ正式発表はされていないものの、業界内では既に噂が広まっていた。

天野奈々...まもなく業界の完全な笑い者になるだろう!

...

午前10時、海輝の記者会見が正式に始まった。しかし、全ての記者を驚かせたのは、宴会場の扉から入ってきたのが、海輝広報部の馴染みの顔でも山本修治でもなかったことだ。

天野奈々の地位が山本修治の出番を決めていたはずなのに、今回天野奈々の広報を担当するのは、なんと長い間姿を消していた冬島香だった!

彼女と北川東吾の恋愛を思い出すと、会場内にはシャッター音が絶え間なく響き渡り、記者たちは狂ったように冬島香の重要な細部を一つも見逃すまいとしていた。