しかも、今回の記者会見に新鮮味を加えるため、山本修治は相当な工夫を凝らした。記者たちに海輝広報部の馴染みの顔ばかり見せるわけにはいかず、新しい人材を登場させる時期だと判断したのだ。
そのため、墨野宙との電話を切った後、山本修治はある人物に連絡を取った。その人物は、とある人に連れられて長い間姿を消していたのだが。
翌日午前9時。
海輝の記者会見が間もなく開催される。会場はDenseStarホテルの宴会場5号室で、500人を収容できる広さだった。
無名の芸能人なら、どこかの通りや会社の前でも記者対応は十分だったかもしれない。しかし、これは人気スター天野奈々に関する会見だ。天野奈々という名前に少しでも関係があれば、たちまち無数の注目と議論を呼ぶ。彼女のキャラクター設定は、まるで話題性のオーラを纏っているかのようだった。