第670章 一石二鳥

手がかりを持って、山本修治は再び犬の飼い主に会いに行き、詳しく事情を聞いた。リードが外れた時のことについて、彼らも何が起きたのかわからなかった。そのブルテリアには以前にも人を噛んだ記録があったが、その時はまだ小さく、軽い噛み傷で済んでいた。

芽衣の身体になぜ骨があったのかについて、山本修治は芽衣に尋ねた。しかし芽衣はまだ幼く、はっきりとした答えは得られなかった。その後、幼稚園の先生に聞いたところ、その日の昼食のメニューには確かにスペアリブが含まれていたという。ポケットに骨が入っていた理由については、子供が拾って遊ぶことはよくあることだと説明された。

山本修治は先生の説明を聞き終えると、真相を追求する心の炎が一瞬にして消えてしまった。

おそらく、天野奈々が気にしすぎているだけかもしれない!

さらに重要なことは、今の佐藤あおいの状況で、彼はただこの女性のそばにいたいと思っているということだ。

誰も責められない、佐藤あおいを守れなかった自分を責めることしかできないのだから……

山本修治が答えを天野奈々に伝えると、天野奈々はしばらく黙り込んだ。諦めたくはなかったが、山本修治が既に詳しく調査したのなら、これ以上こだわっても意味がないと思った。

しかし、彼女の潜在意識の中で、この事件はあの人と無関係ではないと常に感じていた……

……

深水藍華の事故から数日が経ち、その間メディアは毎日新しい報道を更新し、深水藍華の最後の人気を消費し尽くした後、新しい話題に移っていった。それ以降、深水藍華に関する続報は一切なくなった。

芸能界では、のし上がるのは難しいが、誰かを沈めるのは極めて容易だ。

深水藍華のファッションショーや、深水藍華のアンバサダー契約が他の人のものになっているのを見て、天野奈々の心は炉で焼かれるように、少しずつ熱くなり焦げていったが、どうすることもできなかった。