第686章 調査を始めることができる

この二日間、深水藍華の状態はかなり回復し、天野奈々が病院に見舞いに行くと、彼女の顔色も良く、少しずつ安心できるようになってきた。ただし…

「なぜドアの前に立ち尽くしているの?疲れないの?お腹の赤ちゃんも文句を言わない?」深水藍華は天野奈々の深刻な表情を見て、懸命に微笑みかけた。

「山本修治は?」

「芽衣を学校に送りに行ったわ。でも芽衣はもうすぐ休みになるから、山本修治が面倒を見きれないんじゃないかと心配で、あなたに電話しようと思っていたところよ。あなたの家で数日預かってもらえないかしら。」深水藍華は天野奈々に早く座るように促した。

「それなら問題ないわ」天野奈々は深水藍華のベッドの端に座り、思わず彼女の固く包帯で巻かれた足に目が行った。「最近…」

「言わなくても分かっているわ」深水藍華は達観した様子で言った。「こんなにゆっくり休めたのは何年ぶりかしら。怪我をすることも、悪いことばかりじゃないのね」

「あなたが何を言いたいのかも分かるわ。私が回復する頃には、外の世界は変わってしまっているでしょうね。でも、どうしようもないわ。年齢には勝てないもの。あなたみたいに引退して、山本修治と芽衣の世話に専念するわ」

「本当にいいの?」

「私は山本修治を愛しているし、家族も愛しているわ。家族がいれば、それで十分よ」深水藍華は率直に肩をすくめた。「私の価値は、ランウェイの上だけにあるわけじゃないわ」

深水藍華はさまざまな苦難を経験してきた人だ。これくらいのことが分からないようでは、過去の苦労が無駄になってしまう。

「最初、山本修治は私が世間から非難される破れかぶれの女だと知っていても、それでも大切にしてくれた。尊重してくれた。実は私も、家族のために少し犠牲を払いたいと思っているの。特に今の彼の疲れ切った様子を見ていると」

深水藍華の言葉を聞いて、天野奈々は安心したように頷いた。「あなたがそう考えられるなら良かった」

「私は本当に大丈夫よ。それより、あなたはどう?山本修治が先ほど帰る時、お母様から電話があって、あなたを励ましてほしいって。余計な心配をしないように、って。あなたと墨野社長の間で何かあったの?本当に墨野社長が他の女性を見つけたの?」

天野奈々は黙っていた。