天野奈々がそれほどはっきりと言ったにもかかわらず、実際に柴崎小百合を告発しようとすると、丹野茜は彼女との昔の友情を思い出してしまう。感情的になりたくないと思っても、両足を失いかけたにもかかわらず、心の奥底では柴崎小百合を告発したくないのだ。人とはときにこうも愚かなものだ。
時には柴崎小百合の皮を剥ぎ、筋を抜いてやりたいと思うこともあるのに!
天野奈々はソファから柴崎小百合を横目で見て、彼女の目に複雑な感情が浮かんでいるのを見つけると、軽くため息をついた。「まだ考える時間が必要みたいね。でも、警告しておくわ。柴崎小百合のやったことは、いずれバレるわ」そう言って、天野奈々はソファから立ち上がった。しかし、病室のドアまで行く前に、丹野茜が突然尋ねた。
「あなたは柴崎小百合をどれほど憎んでいるの?」