真夜中、夫婦が熟睡していると、突然大きな泣き声が響き渡り、天野奈々は目を覚ました。あかちゃんが泣いているのを見て、起き上がろうとした時、隣で寝ていた男性が素早くベッドから降り、舞を抱き上げた。
墨野宙はあかちゃんに触れるなり眉をひそめた。「熱い。おそらく熱が出ているな...」
天野奈々はそれを聞いて、すぐにベッドから起き上がった。「医師が言っていたわ。小さなあかちゃんは抵抗力が弱いから、発熱は普通のことだって。解熱方法もいくつか教えてもらったし、こういう時は慌てないようにって」
「横になっていなさい。私がやる」墨野宙はそう言うと、体温計を取り出し、あかちゃんを抱いて浴室へ向かった。医師が言っていたように、ぬるま湯で体を拭くことで、物理的に体温を下げることができるからだ。