第721章 あなたが返すのか、それとも彼女が返すのか?

「調査は済んだのか?」海輝の社長室の窓際で、墨野宙は外の景色を眺めながら、後ろにいる陸野徹に尋ねた。

「間違いありません」陸野徹は答えた。「柴崎お祖父様の目には、柴崎小百合は最も誇れる孫娘で、非常に才能があり、純粋で優しい人物です。芸能界に入ることには反対でしたが、それでも孫娘への愛情は変わりません」

「その老いぼれは、自分の孫娘が悪事の限りを尽くしていることを知らないのか?」

「柴崎小百合が知らせるはずがありません」陸野徹は思わず笑いながら答えた。

「招待状を送れ。そのお祖父様に会ってみたいものだ」墨野宙は言い終わると、振り向いて机の上に積み重なった書類に目を向けた。「それと、特に重要でない事は、今後すべて山本修治に任せろ」

「承知しました」

墨野宙が直接柴崎お祖父様に会うというのだ!