第767話 木村いずみを演じる俳優は……

観客の態度は、ほとんどが少し冷めてきていた。

クローズドでの撮影や、長期間の主演男優の秘密保持、そして『邪悪な妃』の連続的な宣伝波により、今や観客の目には、『法醫學皇妃』は途中で挫折した「神ドラマ」に過ぎず、菊地吼のすばらしい原作が台無しになってしまったと思われていた。

「この程度では、向こうは逆転の可能性はほとんどないでしょうね?」白川結のアシスタントは、二つのドラマの期待度を調査した後、興奮して白川結に言った。「結さん、私たちのドラマがもうすぐ放送開始です。あなたの影響力なら、きっと大成功するはずです。視聴率爆上げを期待しましょう。」

「そういうのは、運次第よ。私はこの面では、いつも運がいいの。」白川結は活動室で、服を着替えながらアシスタントに言った。

「もうすぐ年末ですが、早めに帰省してもいいですか?今日は実家で大集合で…」

「私を家まで送ってくれたら、帰っていいわよ。」白川結は気前よく手を振った。ただ残念なことに、石川凛子は海外に行き、彼女の夫もアメリカに戻ってしまい、東京での新年を一人で過ごすことになるとは思わなかった。でも構わない、天野奈々に勝てたことだけでも、十分に気分がよかった。

……

いつの間にか、天野奈々の二人のあかちゃんは、もう半歳を過ぎていた。一緒に新年を過ごすため、天野奈々は天野家と墨野家の人々を集めた。北川東吾と冬島香も来ていた。

みんなが競ってあかちゃんを抱きたがり、二人の笑顔の可愛い赤ちゃんは、たくさんのお年玉を獲得し、年配の人々は手放したくないほどだった。

「奈々、『法醫學皇妃』は本当に『邪悪な妃』に負けてしまうの?最近エンタメニュースを見ても、良い評価がないんだけど、これはいったいどういうこと?」冬島香が最も気にしているのは、今芸能界で議論されているトピックだった。ただの議論なら良いのだが、彼女が最も嫌いなのは、『邪悪な妃』を持ち上げながら『皇妃』を貶すことだった。

「この二人とも、どっちも手強いよな?そんなことを心配する時間があるなら、いつ俺のプロポーズを受け入れるか考えたらどうだ。」北川東吾は冬島香の後ろに現れて言い、最後に天野奈々に尋ねた。「助けが必要なときは言ってくれ。映画帝王の賞をいくつか取っているんだから、業界での発言力はそれなりにある。」