第762章 これが木村いずみだ!

天野奈々は男性主役が誰なのか知りたかったが、表情には出さなかった。共演シーンを撮影する時には必ず会うことになるので、時間の問題だと思っていた。

天野奈々にはマネージャーもアシスタントもいないことを知っているため、スタッフは彼女に特別な配慮をしていた。中にはそれを不思議に思うスタッフもいた。

「あなたは今こんなに人気があって、何でも手に入るのに、どうして良いアシスタントを雇わないの?他のトップスターを見てごらん。みんな二人のアシスタントと四人のボディーガードを付けているのが当たり前なのに、あなたは何でも自分でやっているじゃない。」

撮影所に弁当を届けるおばさんは、天野奈々の弁当を受け取りに来る人がいないのを見て、自ら届けてくれた。

天野奈々は食べながら、心が温かくなるのを感じた。