まるで絵の中の人のようだ!
古代の髪飾りには多くの種類があり、霊蛇髻は間違いなく難しい髪型の一つだが、天野奈々の頭に乗せると、少しも重たく見えない。冷遇された妃だからこそ、ほとんど簪や揺れる飾りを使わず、清楚で気品のある姿に見える。淡い鵞鳥色の素袍を身にまとい、全体的に霊気があり温かみがあるが、その目には冷たさが宿り、人々に距離感を感じさせる。
風子というキャラクター設定は、タイムスリップする前、暖色系の衣装を好んでいた。先代天皇が初めて彼女に会った時、鵞鳥色が彼女の瑞々しさと温かみを引き立てると言ったからだ。それ以来、彼女はこの淡い鵞鳥色の衣装を好むようになった。しかし、その時から彼女の悲劇的な人生が始まった。先代天皇は二度と彼女を召すことはなく、冷宮に追放されることはなかったものの、事実上見捨てられた妃となった。
「綺麗...本当に綺麗。」
風子はこの時、同じく不遇な皇子である木村いずみと出会った。寵愛されない妃が寵愛されない皇子を育てることになり、わずか三歳の年齢差なのに、母子として接しなければならなかった。
タイムスリップ前の風子には、木村いずみを教育する才能はなかったが、タイムスリップ後の風子は、才能豊かな人物となった。
木村いずみは、愛する女性が冷宮での屈辱に苦しむことを防ぐため、後に勇敢に一国の君主となった。
天野奈々は、この二人の主人公の間の感情に胸が引き裂かれる思いがした。
同時に、現代の、この豊かで自由な国に生まれて良かったと感じた。
「このスチール写真が公開されたら、みんな発狂するわ!本当に綺麗すぎる!」メイクアップアーティストは思わず感嘆した。
「では、男性主役は?」天野奈々はスタッフたちに尋ねずにはいられなかった。「私はまだ誰が主役なのか知らないんですが、衣装合わせはもう済んでいるんですよね?」
「いいえ。」スタッフたちは一斉に首を振った。「これは間違いない事実です!」
「わかりました、もう追及しません。」おそらく今の撮影現場で、男性主役が誰なのか知っているのは、監督の中野風太一人だけだろう。
天野奈々は残りの二つの衣装でもスチール写真の撮影に協力し、カメラマンを大いに満足させた。天野奈々は微笑んで何も言わず、仕事が終わった後、撮影現場に戻って脇役たちの撮影シーンを見学した。