第770話 彼女の正体を暴きたくないかい？

墨野宙にとって、『法醫學皇妃』に出演することは、野菜を買いに行くような単純なことだった。世間が思うような...大げさなことでもなく、何か衝撃的な決断を下す必要もなかった。それは彼の能力の範囲内のことだった。

墨野宙が控えめなのはまだいいとして、天野奈々までもが異常なほど控えめだった。

自社の作品だからこそ、必要な宣伝以外に墨野宙は他の活動を予定しなかった。結局のところ、視聴率は既に出ているし、天野奈々も女優としての責任を果たしていた。彼は今、天野奈々をその方向に育てようとしているようで、作品があれば撮影し、なければ表に出ない。

彼は全ての人々に伝えたかったようだ。良い脚本だけが天野奈々を芸能界で活躍させることができ、それこそが真の作品のために生まれた女優であり、これはさらに天野奈々が良作品だけに出演する質の高い女優としての地位を確立することになる。

そしてこの時、白川結は、どうやって這い上がるかを考えていた。

いわゆる『一日一夜』というリアリティショーは、五人のゲストを無人島に置き、野外サバイバル活動を行うもので、彼らは救助信号を残すが、解読時間は二十四時間しか与えられない。五人のゲストが手がかりを無事に見つけることができれば、脱出車のドアの鍵を手に入れることができ、任務は成功となる。しかし、失敗した場合は試練を受けなければならない。

この番組は東京では、視聴率が常に良好だった。

毎回流された島が異なるため、様々な珍しい景色を見ることができるだけでなく、異なるスリルと冒険も楽しむことができる。

すぐに番組の撮影が始まり、白川結と同行する人々は、皇暁の他に、ペットを連れた年配の歌手、若い夫婦がいた。

彼らは全員が芸能界の人間というわけではなく、例えばその若い夫婦は、非常に有名な旅行家で、多くの国々を徒歩で旅し、豊富な野外サバイバル経験を持っていた。

五人は未知の島に一緒に置かれ、最も重い荷物を背負っていた。

若い夫婦は慣れているため重さを感じず、夫は妻の荷物も負担したが、皇暁は年配の歌手の荷物を持ち、そのため白川結は自分で何とかするしかなかった。

この一行の中で、皇暁だけが白川結がいかに演技が上手いかを知っていた。

自分を楽にするために、彼女は必ず全力を尽くして演技をするだろう。