第769章 溺愛妻の隊長

もちろん、第1話と第2話を見終わった後、みんなが面白いと思う一方で、頭の中には一つの疑問が残っていた。なぜ、この分野に全く関わったことのない墨野宙が、突然演技ができるようになったのか?

彼は隠れた達人のように、一般人には想像もつかないことを、いつも易々とこなしてしまう。

多くの人が理解に苦しむ中、簡単に答えを出す人もいた。他でもない、墨野宙は天才だからだ。

突然、東京中が『法醫學皇妃』について、そのストーリーについて語り、リソースを求め、グッズを買い求めるようになった。

一方、白川結は『邪悪な妃』の放送が終わっても、あまり注目されることはなかった。これが所謂映画女王というものか……

一つのドラマがここまで徹底的に打ち負かされるのを見るのは珍しい。本来、白川結がここまで落ちぶれることはなかったはずだが……不運にも、彼女は墨野宙を怒らせ、天野奈々を陥れようとした。情理を尽くしても、墨野宙は様々な場面で彼女を極限まで追い詰めるしかなかった。

……

もちろん、白川結のドラマが失敗した後でも、まだ道は残されていた。結局のところ、彼女の善良なイメージはまだ健在で、それをうまく維持できれば、まだ這い上がるチャンスはあった。

「結、最近の一線級の仕事は、全て大物タレントに取られてしまって、同じ価格帯では、番組側は私たちのことを全く考慮してくれないみたいです……もしかして……」

「私に番組出演の基準を下げろと言うの?それじゃ映画女王の白川結じゃないでしょう?」白川結は憤慨して言った。

「では……これらの仕事をご覧ください。」アシスタントは恐る恐る資料を差し出した。既にこんな状況なのに、まだ大物ぶった態度を取り続けている。ドラマは親も知らないほど大失敗し、世間の笑い者になっているのに、一体何が誇らしいのか分からない。

白川結はアシスタントから渡された資料を受け取り、一目見ただけで相手の頭に投げつけた。「私に新人のようにこんなリアリティショーに出ろというの?」

「結、申し訳ありません。すぐに下げます。」

アシスタントが床で資料を拾っているのを見て、白川結はすぐに制止した。「待って、リアリティショーなら、試してみてもいいかもしれない。」

感情操作は彼女の得意分野だった!