第831章 父子を許してあげる

彼にこの子を助けさせましょう。

そして翌日、権守夜がオーディション新人と密会した件が、芸能ゴシップとして暴露された。星野晶は確かに無名だったが、権守夜は違う。

権守夜のこの行動によって、天野奈々と加藤静流の計画は完全に台無しになった。

権守夜は妖艶な存在として知られていたが、スキャンダルはめったになかった。たとえ星野晶のマンションの下に現れたのが恋愛目的でなくても、二人の間には何か言い表せない関係があるはずだと。

今やメディアは情報を手に入れたからには、星野晶のことを徹底的に調べ上げ、先祖の墓まで掘り返すつもりだった。

こうして星野晶の露出度は一気に上がった。外部は彼女の身元をすぐには特定できなかったものの、彼女が征途のコンテストに参加していることは知られてしまった。

加藤静流はそのような報道を見て、一方では直ちに星野晶を慰め、もう一方では天野奈々に電話をかけた。「申し訳ありません、奈々。権守夜は私を探しに来たんです。」

「言われなくても分かっているわ。今や事態は大きくなりすぎて、多くの要因がコントロールできなくなってしまったわ」と天野奈々は電話の向こうで言った。「早すぎる露出は星野晶にとって何の利点もないことは分かっているでしょう。歌姫の妹に気付かれるだけでなく、以前の窃盗事件も掘り返されることになるわ。」

「奈々、じゃあどうすればいいんですか？」加藤静流は焦りを見せた。この件は自分が引き起こしたと感じていたからだ。

「一つ方法があるけど、あなたが同意してくれるか心配なの」と天野奈々は沈黙の後、突然提案した。

「奈々、早く言ってください。」

「あなたと権守夜の関係を対外的に説明するの。それしか星野晶を守る方法がないわ。でも、あなたにとっては辛い選択になると思うわ。」

加藤静流はこれを聞いて、確かに黙り込んだ。しばらくして、天野奈々に答えた。「奈々、そうすることに同意します。でも、どう公表するかは私に決めさせてください。いいですか？」

「それはあなたのプライバシーだから、もちろんいいわ。でも早くしないと、外部は発狂したように星野晶を八つ裂きにするわよ。」

「分かりました。すぐに準備します。」そう言って、加藤静流は電話を切った。