第830章 私の芸能人に手を出すな

浅川司は撮影現場で、シーンがない時も征途大会の動画を見ていた。

そして、中村さんが言っていたことを漠然と覚えていた。天野奈々が新しく契約したタレント、星野晶という名前の子だ。彼は意識的にこの少女に注目していた。大勢の参加者の中で、特に目立つ容姿ではなかったが、自信に満ち溢れていた。

この点が、浅川司はとても気に入っていた。特に彼女が歌った童謡を聞いた後、浅川司はより確信した。この少女には、優勝する潜在能力があると。

彼は中村さんの忠告も心に留めていた。監督と親しくなるように、たとえ親密にならなくても、少なくとも素直な俳優であるように。

深夜、浅川司はまだ撮影を待っていた。すぐに気づいたのは、監督が今夜、落ち着かない様子で、何度も電話を受けていたことだ。

浅川司は思わず尋ねた:「監督、何かあったんですか?」